[Volvox01082] Volvox Monthly Greeting (1 May 2017) VolvoxMLの皆様 ML管理者 西郷です。 新学期も1ヶ月過ぎました。 1年ぶりで「生物基礎」の授業をやっています。 火・金の午前中に2クラス4時間担当しています。 現役時代と同様に、年度初めはなかなかエンジンがかからず、 (あれもこれも、となってしまうのが原因ですが・・・) 中間考査が迫ってしまって、慌てています。 最近の話題から(URLが切れている場合つなげて下さい) 1.サバンナゾウは遠くまで種子を運ぶ 2.オニヒトデのゲノム解読 3.探査機カッシーニ最後のお仕事 4.受精卵改変での出産禁止へ 5.国際植物の日 名古屋市科学館 生命ラボスペシャル 6.H29年度「学習デジタル教材コンクール」 7.日本生物教育会・栃木大会8/3・4 8.名古屋市科学館「恐竜の大移動」展   名古屋市博物館「シーボルト」展 9.ツクシの胞子の観察 10.カサノリ・ヘゴの胞子アフリカツメガエルの幼生の配布 11.現在配布・貸出可能な教材 ----------------------------------------------------------- 1.サバンナゾウは遠くまで種子を運ぶ  アフリカゾウは2010年にサバンナゾウ(Loxodonta africana africana)と シンリンゾウ(Loxodonta africana cyclotis)の2種に分けられたが、 陸上動物最大のサバンナゾウは植物の種子を最も遠くまで運ぶ運搬者である ことが、糞の分析などからわかった。 その距離は65kmで、サバンナの鳥たちの30倍も遠くに運んでいる。 サバンナゾウの腸は20mもあり、食べたものの多くは33時間後に排便されるが、 長いものでは96時間の間体内にとどまる。サバンナゾウは配偶者を求めて 65km先まで移動することが知られており、種子はこの範囲まで拡散すること になる。種子の運搬距離では鳥の方が上であるが、鳥が運ぶ量は少なく 軽い種子しか運べない。種子を食べることによって、カブトムシなどから 種子を守るだけでなく、消化管を通ることによって発芽率が向上する種子も 知られている。 これらのことから、サバンナゾウがサバンナの植物相や生態系の維持に 深く関わっており、サバンナゾウの保護はサバンナの生態系の維持に つながることになるようだ。 http://www.sciencemag.org/news/2017/04/amazing-african-elephants-may-transpo rt-seeds-farther-any-other-land-animal Seed dispersal kernel of the largest surviving megaherbivore?the African savanna elephant Biotropica 49, Issue 3, May 2017, Pages: 395?401, Katherine Bunney, William J. Bond and Michelle Henley 2.オニヒトデのゲノム解読  オニヒトデ(Acanthaster planci)はインド太平洋全域に分布する 造礁サンゴの捕食動物であり、その大発生はサンゴ被度の低下や生物多様性の 喪失を引き起こす。今回B Degnanたちは、オーストラリアのグレートバリア リーフおよび沖縄で得たオニヒトデ2個体のゲノム塩基配列を解読したことを 報告している。彼らはまた、体の外側にあるいくつかの組織および器官について トランスクリプトーム解析を行い、オニヒトデの集団や警戒している個体が水中 に放出する分泌タンパク質についても調べた。今回得られたオニヒトデのゲノム に関する知見は、サンゴ礁を脅かす捕食性ヒトデの大発生に狙いを定めた対処法 の開発に役立つ可能性がある。(NatureAsiaより) Biocontrol: Crown-of-thorns no more Nature 544, 168?170 (13 April 2017) doi:10.1038/nature21905 http://www.nature.com/nature/journal/v544/n7649/full/nature21905.html The crown-of-thorns starfish genome as a guide for biocontrol of this coral reef pest [OPEN] Nature 544, 231?234 (13 April 2017) doi:10.1038/nature22033 http://www.nature.com/nature/journal/v544/n7649/full/nature22033.html 3.探査機カッシーニ最後のお仕事  カッシーニは1997年に打ち上げられ、土星で発生する巨大なハリケーンの発見、 メタンの大気がある衛星タイタンのが地球のように雨が降り川や海を持つこと、 衛星エンケラドスの地下に液体の水の海がある証拠を発見し、地球以外で初の 微生物の存在の可能性を示唆した等々、数々の新発見をもたらした。 カッシーニは土星と土星の環の間を通過し、土星の環の構成物質の調査が行われる。 カッシーニは燃料切れとなって、これが最後の仕事となる。 Cassini embarks on twilight mission at Saturn Science? 14 Apr 2017:Vol. 356, Issue 6334, pp. 120-121 DOI: 10.1126/science.356.6334.120 http://science.sciencemag.org/content/356/6334/120 Food for microbes abundant on Enceladus Science? 14 Apr 2017:Vol. 356, Issue 6334, pp. 121 DOI: 10.1126/science.356.6334.121 http://science.sciencemag.org/content/356/6334/121 4.受精卵改変での出産禁止へ  ゲノム編集による受精卵の改変は基礎研究に限って認め、子宮に戻して 出産させることは禁じる方向で検討する。5月にも安倍首相が議長を務める 「総合科学技術・イノベーション会議」の下に新組織を設置することを決め、 議論を始めるとのことである。  比較的簡単にゲノム編集ができるCRISPER/Cas9。この技術を使うと、 簡単に「デザイナーベビー」をつくることができ、瞳や髪の色などを変える ことができるかもしれない。この系で遺伝子の機能を止めることは 「遺伝子組み換え」には該当しないという考えが主流である。 日本では、ヒトに関する規制がなく、今回はじめて検討されることになる。 5.国際植物の日 名古屋市科学館 生命ラボスペシャル  国際植物の日というのがあり、今年は5/18だそうです。  (日本の研究者が呼びかけてつくったもののようです。)   この日を中心にいろいろなイベントが企画されているようです。  名古屋市科学館の生命ラボスペシャル 国際植物の日記念行事 「もっと知ろう、植物のひみつ」があります。  5月20日(土)、21日(日)13:00〜15:30  理化学研究所の研究者による実験で、時間内にいつでも参加できるとのことです。   @シャーレの中の植物から変異体(ミュタント)を探そう   A植物から出る昆虫の好きな香り、嫌いな香り http://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/attraction/event/2017/bio_labo.html 6.H29年度「学習デジタル教材コンクール」  H29年度「学習デジタル教材コンクール」の作品募集中。  昨年度は約200件の応募作品があったとのことです。   先生等が作成したものと児童生徒が作成したもののどちらも対象となる。    応募資格は、団体(学校、教育委員会、教育センター、その他教育機関、  研究グループ等、先生の指導のもとにある児童生徒)と個人(学校の先生  、教育委員会、教育センターの教育関係専門職、その他教育経験者等)  応募期限 平成29年5月12日(金)消印有効   詳細情報:http://www.gakujoken.or.jp/ghp/concul/bosyuannai.html 7.日本生物教育会・栃木大会8/3・4  日本生物教育会の全国大会・栃木県大会の要項がアップされています。   大会主題「下野からのやさしい生物教育 〜地域と教室から本質を発信する〜」   主催  日本生物教育会・栃木県高等学校教育研究会理科部会   開催期間 平成29年8月2日(水)〜5日(土)(一部は6日(日)まで)        2日(水)は理事会、3日と4日が大会、        現地研修は4日から5日・6日  実験講座もあります   会場  帝京大学宇都宮キャンパス 地域経済学科棟   http://www.tochigi-edu.ed.jp/bukai/rika/nc/index.php?page_id=60   実施要項・申込用紙もこのサイトからダウンロードできます。  発表・参加申し込みの受付期間は5月8日〜6月16日 8.名古屋市科学館「恐竜の大移動」展  名古屋市科学館でやっている「恐竜の大移動」展を見てきました。  平日の午後で、科学館の方には「遠足」の小学生がたくさんいましたが、  特別展はガラガラでした。  ティラノサウルスやトリケラトプスの源流はアジアにあり、アメリカに渡って  繁栄し、また、アジアに戻ってきたという流れの展示でした。  角竜の頭部の化石がずらっと並んでいたところはなかなか見応えがあります。  5月28日まで。 http://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/attraction/special_exhibition/the_great _journey_of_dinosaurs.html   名古屋市博物館では「シーボルト」展をやっています。連休明けに行こうと  思います。正式にはちょっと長い名前です。  「シーボルト没後150年記念 特別展 よみがえれ!シーボルトの日本博物館」  平成29年4月22日(土)〜6月11日(日)  休館日 毎週月曜日・第4火曜日  開館時間 9時30分〜17時00分(入場は16時30分まで) http://www.museum.city.nagoya.jp/exhibition/special/past/tenji170422.html 9.ツクシの胞子の観察  瑞陵高校の1年生でもやってみました。  しかし、今までは、実習助手に息をかけてもらっていて、  モニターの映像を確認しながら進められたのが、  自分で息を吹きかけると、モニターが見えず、苦戦しました。  胞子を多く盛りすぎいて、息をかけても弾糸が絡まってしまい、  「伸びて広がっていた弾糸が、胞子本体に絡みつく」様子が  わかりにくく、生徒も変化をつかみにくかったようです。  幸い、村松さんが気がついて、生徒に呼びかけてくれたので、  なんとか切り抜けることができました。  スライドガラスの上にのせる「胞子の量」が重要です。  10.カサノリ・ヘゴの胞子・アフリカツメガエルの幼生の配布  カサノリは30カ所に配布しました。今年は、「郵送」にやや問題があったようで  箱の中でポリ瓶が割れていたり、少々状態が良くなかったように思います。  カサノリの配布は終わりましたが、ヘゴの胞子はまだまだあります。  胞子の発芽は確認してありますが、乾燥が大敵で、発芽後しばらくは十分な湿度  を保つ必要があります。   アフリカツメガエルの幼生(おたまじゃくし)の配布を紹介しましたが、  現在までに名古屋市内の数校が取りに来たとのことです。  本日(5/1)、明和高校に行ってきましたが、まだまだあります。  小島さんの話では、連休後にも交配させる(成熟した雌雄を同じ水槽に  入れるだけ)とのことなので、さらに増えるようです。  私も100匹ほどもらってきましたので、私から郵送することも可能です。   全部飼うことはできませんので、是非、ご連絡ください。  saigot◎js2.so-net.ne.jp まで 11.現在配布・貸出可能な教材 saigot◎js2.so-net.ne.jp までご連絡下さい。  (普通郵便なら送料当方負担で郵送します)  [種子]    古代米(紫黒苑)の種籾 お米です。100g単位なので購入しましたが、     田んぼでなく大きめのプランターで作るので、余っています。     だれかもらってください。収量はさほど多くありませんが、     授業で脱穀などをします。    アサガオ(むらさき・光感受性高い)    テオシンテ(トウモロコシの原種)    タイワンコマツナギ(藍染めの染料 石垣島で購入・発芽確認済み)  [生体]カイコ(卵)     カイコの卵は、冷蔵庫に保管してあり、出してから7日〜10日で孵化     してきます。     この間に郵送することになります。計算して(といっても正確に何日後     というわけにはいきませんが)リクエストしてください。     現在、一部を冷蔵庫から出して孵化するかテストしています。    ミズクラゲのポリプ、    キートセラス(珪藻 プルテウスの餌)    ボルボックス、クラミドモナス、ミドリムシ(ユーグレナ)    クワ(幼木)、ゾウリムシ、ミドリゾウリムシ    ヌマムラサキツユクサ、セイロンベンケイソウ、シャジクモ  [貸出]インターバルレコーダー「レコロ」1台        キングジム http://www.kingjim.co.jp/sp/recolo_ir7/  [販売]カサノリTシャツ     http://www004.upp.so-net.ne.jp/saigot/BioEduRef/BioEduRef.htm ---------------------------------------------------- VolvoxML連絡事項 1.投稿について  Volvox ML ホームページに「投稿規定(投稿前のチェック)」  を作成しました。投稿前にチェックしてください。  http://www.i-mate.ne.jp/~volvox/Check.html  添付文書(写真も)は不可です。  Volvox ML ホームページに画像を掲載することも可能です。  (事前にvolvox-admin@i-mate.ne.jpまでご連絡下さい。)  ※なお、1回の投稿に字数制限があります。   投稿して受け付けられなかったら、削るか2つに分けて下さい。   一見短くても、多くの文字情報が埋め込まれていてエラーになる   こともあります。この場合、「テキスト」にすると良い場合もあります。 2.複数のメールアドレス登録について  学校用と自宅用など、複数のメールアドレスを登録し、  複数の場所に配信することも可能です。  volvox-admin@i-mate.ne.jp までご連絡下さい。 3.過去ログについて  http://www.i-mate.ne.jp/~volvox/archieves.html  で  最初は「パスワード登録」を行って下さい。  次回からは「過去ログをみる」でパスワードを入力してご覧下さい。   (つまり、関係ないなと思ったメールはどんどん削除すれば良いのです) 4.先月の新規入会等  メールアドレスの変更等がありましたら、   volvox-admin@i-mate.ne.jp までご連絡下さい。  先月の新規入会者3名 〇〇〇〇 xxxxx◎gmail.com 〇〇高等学校 〇〇〇〇 xxxx◎xx.ed.jp 〇〇〇〇高等学校 〇〇〇〇 xxxx◎xx.ed.jp 〇〇〇〇高等学校  現在の会員数 124名 (愛知65 岐阜3 三重7 長野1 新潟1 青森1 秋田1 宮城3    東京14  茨城1 埼玉3 神奈川1 千葉3   大阪6 京都2 奈良1 兵庫2 岡山2 広島1 愛媛1  福岡1 佐賀1 鹿児島1 沖縄1 海外1) 以上 ---------------------------------------------------- 生物教育研究所 研究員 西郷 孝 (愛知県立瑞陵高等学校 非常勤講師) http://www.i-mate.ne.jp/~volvox/index.html http://www004.upp.so-net.ne.jp/saigot/